今回の朗読では作品の中でもインスパイアしている立原道造の詩を選んでもらいました。
私が立原道造を知ったのは彼が遺した図面をもとに再現された『ヒヤシンスハウス』でした。
このヒヤシンスハウス小さな小屋の窓から入ってくる自然光がとても美しい空間なのです
当時、伊賀の里山に居を移し、アトリエを改装中だった私はその世界に引き込まれていきました。
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眠りのほとりに
沈黙は 青い雪のやうに
やさしく 私を襲ひ……
私は 射とめられた小さい野獣のやうに
眠りのなかに 身をたふす やがて身動きもなしに
ふたたび ささやく 失はれたしらべが
春の浮雲と 小鳥と 花と 影とを 呼びかへす
しかし それらはすでに私のものではない
あの日 手をたれて歩いたひとりぼつちの私の姿さへ
私は 夜に あかりをともし きらきらした眠るまへの
そのあかりのそばで それらを溶かすのみであらう
夢のうちに 夢よりもたよりなく
影に住み そして時間が私になくなるとき
追憶はふたたび 嘆息のやうに 沈黙よりもかすかな
言葉たちをうたはせるであらう
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22日は16時~ 岡安圭子朗読会
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